
死のゲームをエンタメ化した狂気の世界
ひたすら逃げるヒーローを素直に応援したい!

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30日間、ハンターから逃げれば大金をゲット! しかし、捕まれば即死! という恐怖のデスゲームが大人気リアリティ番組となっている狂気の近未来を舞台にした“逃走”アクション映画。
原作は、稀代のスリラー作家、スティーブン・キングが1982年に出版した同名小説で、1987年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で『バトルランナー』というタイトルで映画化されている。
2度目の映画化となる本作は、奇しくも原作の時代設定である2025年に本国アメリカで公開されたが、テクノロジーやSNSの急速な発展とともに、格差社会の苦しみや世の中の生き辛さなどを身近に感じられる今の時代においては、単なる娯楽アクション映画に留まらない意味を持っている。
人の死をエンターテイメントとして楽しむ悪趣味な世界が、スリルと刺激、そして皮肉たっぷりに描かれる。
現代からそう遠くない未来。世界は、一握りの富裕層と、それ以外の圧倒的多数の貧困層に分けられ、人々は日々苦しい生活を送っていた。
ブルーワーカーのベン・リチャーズ(グレン・パウエル)は正義感に駆られた行動が会社側の反感を買い、解雇されてしまう。再就職先が見つからないベンに代わり、妻のシェイラ(ジェイミー・ローソン)が昼夜働いているが、重病の幼い娘に薬を買うこともできないほど貧困に苦しんでいた。
困り果てたベンは、1000億円の賞金目当てに巨大企業ネットワークが主催するデスゲーム「ランニング・マン」に参加することを思い立つ。それは誰も成功したことのない、まさしく“死”のゲームだった。
大勢の参加希望者の中から、肉体労働の現場で培った身体能力やマネジメント力を生かして、見事3人の出場者に選ばれたベン。『トップガン マーヴェリック』(’22年)のクールなトップガン候補生“ハングマン”に抜擢され、一躍脚光を浴びたグレン・パウエルが、家族への愛と貧困層の意地をむき出しに、過酷なデスゲームに臨むベンをワイルドな魅力全開で演じている。
真っ黒な覆面にサングラスをかけたハンターたちが不気味で怖く、容赦ないアクションシーンはハラハラドキドキの連続だ。
富裕層が牛耳るテレビ局の欺瞞や人を操るフェイクニュースの恐怖、人の窮地に驚喜する視聴者心理など、今日的な悪意をまざまざと見せつける。その一方で、ベンは偶然出会った人々の助けで絶体絶命のピンチを切り抜けていく。
善意と悪意のはざまでもまれながら、必死に生き延びようとするベンの奮闘は人間味にあふれ、最後まで見応えがある。社会的弱者のヒーローをぜひ応援してほしい。監督・脚本・製作はスタイリッシュ強盗スリラー『ベイビー・ドライバー』(’17年)など、多彩なジャンルの作品でヒットを飛ばすエドガー・ライト。
1月30日より全国ロードショー
作品情報
2025年/アメリカ/133分/配給:東和ピクチャーズ
公式サイトhttps://the-runningman-movie.jp/
