
世界で真剣に考えるべき社会問題
看護師の過酷さを取り除く方法とは

/ MMC Zodiac GmbH
傷ついた人びとの命を救う看護師という仕事の過酷さは世界共通の課題であるようだ。
本作は、とある州立病院で遅番のシフトに入った1人の看護師の勤務状況を描いたスイス・ドイツ制作の社会派ヒューマンドラマ。
人手不足の満床病棟で、患者やその家族たち、医師や同僚たちからのさまざまな要求に応じ、息つく間もなく動き回る看護師の、理不尽なまでの過酷さに胸が痛くなる。
州立病院の外科病棟に勤務する看護師のフロリア(レオニー・ベネシュ)が遅番のシフトで出勤する。この日の遅番は、チームの1人が病気で欠勤したため、フロリアを含めた2人の看護師で、26人の入院患者を診なければならない。さらに、フロリアはインターンの指導も任される。
プロ意識が強く、忙しい最中でも投薬管理や注射の手技を的確に行い、実務的にも精神的にも患者に寄り添い看護するフロリアだが、あまりの業務の多さゆえに対応が遅れた患者から心無い言葉を投げつけられ、次第に冷静ではいられなくなっていく。
人手不足の看護の現場を明らかにしたのは、スイスの女性監督ペトラ・フォルペ。脚本も手がけており、フロリアを呼び止める患者個々の事情から、病気と向き合う人間心理にも迫り、看護師不足の早急な対策とともに、病気で不安な患者の心に寄り添う医療の大切さにも触れている。
映画全編出ずっぱりで、フロリアの心の変容を巧みに演じたのは、『ありふれた教室』『セプテンバー5』のドイツ人女優レオニー・ベネシュ。役作りのために州立病院のインターンシップを修了し、医療機器の操作や薬品の扱い方を完璧に習得したという。
また、多忙な看護師の姿をリアルに感じさせる、臨場感あふれるカメラワークも秀逸だ。
(ライター:能登春子)

3月6日より全国ロードショー
作品情報
2025年/スイス・ドイツ/92分/配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
公式サイト:https://nursecall-movie.com/
