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『しあわせな選択』


イ・ビョンホンのコミカルな演技が大好評
労働者は身につまされる(?)失業スリラー

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『JSA』(‘00年)、『オールド・ボーイ』(’03年)など、世界的に高い評価を受ける韓国の巨匠パク・チャヌク監督が放つ衝(笑)撃のサスペンススリラー映画。
会社を突然、解雇された男が、家族との幸せな生活を守るために究極の選択をする。追い詰められ、人間性を失っていく男の鬼気迫る姿をブラックなユーモアたっぷりに描き、現代の労働者が直面する、さまざまな問題を浮かび上がらせる痛快作だ。


25年間、製紙会社で堅実に働いてきたユ・マンス(イ・ビョンホン)は妻イ・ミリ(ソン・イェジン)と2人の子どもとともに郊外の大きな家で“理想的”な人生を送っていた。2匹のゴールデン・レトリバーが駆け回る緑豊かな庭で、バーベキューを家族で楽しむ優雅な生活。だが、未来永劫続くかと思えた幸せな日々は、マンスが会社の買収に伴い、解雇されたことから一変する。
マンスは製紙会社への再就職活動に励むが、1年以上経ても決まらず、家計は苦しくなっていく。ミリは節約を宣言し、仕事も再開するが、そんな中で、チェロの才能を見込まれた娘のために高額なレッスン料が必要になり、ついに家を手放すことも考え始める。


みじめな姿をさらしても無下にされる再就職活動の中で、マンスはミリの何気ない言葉から、とんでもない考えを思いつく。「製紙会社を受けるライバルがいなくなれば入社できる」と。
こうして、製紙会社に合格しそうなライバルたちを亡き者にしようとするマンスの殺人計画の顛末が描かれる。
勤勉で家族思いの優しいマンス。殺人なんて思いもよらない男が恐る恐る企てる殺人はハプニングの連続だ。第3者に見つかったり、チョー・ヨンピルの歌が大音量で鳴り響いたり、はてはミリからのオンライン電話に出ちゃったり。家族の幸せのために“仕方なく”殺人鬼になるマンスは恐ろしいけれど、不器用で滑稽で悲哀すら感じさせる。
ヒーロー然とした役柄が多いイ・ビョンホンが度重なるピンチに翻弄されるマンスを大熱演。真剣なのになぜか笑える、硬軟自在の演技は米ゴールデングローブ賞の主演男優賞候補になるなど、好評を博している。
明るく、しっかり者のミリを演じるのは、『私の頭の中の消しゴム』(’04年)、『愛の不時着』(’19年)のソン・イェジン。日本の韓流ブームを盛り上げてきた韓国の2大スターの共演も見どころだ。
(ライター:能登春子)

作品情報

2025年/韓国/韓国語・英語/カラー/スコープサイズ/139分/日本語字幕:根本理恵/英題:NO OTHER CHOICE/配給:キノフィルムズ/提供:木下グループ
公式サイト:https://nootherchoice.jp/


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