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『白鳥とコウモリ』


松村北斗と今田美桜が禁断のバディに挑むヒューマンミステリー
東野圭吾版“罪と罰”の物語に、深く考えさせられる

©2026「白鳥とコウモリ」製作委員会

心を揺さぶる傑作ミステリー小説『手紙』や『白夜行』で、殺人事件の加害者家族と被害者家族が辿る非情な人生を紡いだ東野圭吾が、再び殺人事件の加害者家族と被害者家族の苦悩に迫ったヒューマンミステリー小説の待望の映画化。

主人公は、殺人事件の容疑者の息子と被害者の娘。まったく対極の立場にいる2人が、共にそれぞれの父親の言動に疑念を抱いたことから、真実を知るために手を取り合うことになる。この禁断のバディに待ち受ける運命とは?

〈罪と罰〉をテーマに、犯罪者の家族が受ける過酷な罰の連鎖を描いた原作の、胸を締め付けるような世界観を見事に映像化している。


1984年、ある殺人事件の容疑者が取り調べ中に留置所で自死する。

2017年、善良な弁護士・白石健介(中村芝翫)が東京都港区に停められた車内から刺殺体で発見される。捜査にあたる警視庁の刑事・五代(柄本佑)は、白石の通話記録にあった愛知県在住の倉木達郎(三浦友和)に事情を聞きに行く。温厚そうな倉木に不審な点はなかった。しかし、倉木への嫌疑を示す証拠が見つかると、倉木は白石の殺害を自供し、さらに1984年に起こった殺人事件も「本当は自分が犯人だった」と告白する。

倉木の息子・和真(松村北斗)は東京の大手広告代理店で活躍していたが、父親の逮捕により身を潜めるような生活を余儀なくされる。一方、白石の娘・美令(今田美桜)は突然、父を亡くした悲しみに暮れながらも、倉木が供述した事件の経緯に違和感を抱く。倉木の話す健介の姿が自分の知る父とは思えず、「倉木が嘘をついているのでは?」と考える。

しかし、倉木の自白で事件は解決したことになり、警察の捜査は終結。そのため、美令は和真の助けを借りて、倉木の“嘘の理由”を探ろうとする。


和真と美令の関係性は、後ろ暗く危険な人生を歩む『白夜行』の主人公たちを想起させるが、白石弁護士殺人事件の真相を追う正統派のミステリーである本作は、『白夜行』とは異なり、陰鬱で破滅的な物語ではない。

しかし、殺人事件という恐るべき罪に巻き込まれ、平穏な日常が奪われて悲嘆に暮れる和真と美令の心情を表すかのように、物語は終始、重苦しいムードに包まれる。

息詰まるような緊張感を醸し出すのは、男性アイドルグループ・SixTONESのメンバーであり、近年は俳優としての活躍も目覚ましい松村と、従来の明るいイメージを封印した今田の主演コンビ。松村は殺人犯の息子というあまりにも悲惨な現実に戸惑う和真の心を繊細に表現し、今田は父を殺された極限状態の中で真実を求める美令を気丈に演じ切る。

 “真実を知る”という “正しいこと”を追求した結果、和真と美令は殺人事件に秘められた衝撃的な真実にたどり着く。その真実には、善悪の判断を大いに揺さぶられるだろう。

善と悪を表している「白鳥とコウモリ」の例えは、単に美令と和真の2人を象徴するだけでなく、物語のすべての登場人物に当てはまる。平凡な日常を送りながらも、人の心は状況次第で善にも悪にも傾いてしまうことがある。そんな不確かな人間の心の脆さについて、自分ごとのように深く考えさせられる。

東野圭吾の最高傑作とも評される原作が素晴らしいのはもちろんだが、原作の真髄を丁寧に伝え、深い余韻を残す映画版も素晴らしい。

脚本は、『ある男』(‘22年)、『愚か者の身分』(‘25年)の向井康介。監督は、『あゝ、荒野』(‘17年)、『正欲』(‘23年)の岸善幸。社会からはみ出した人々に光を当ててきた2人の持ち味がいかんなく発揮されている。
(ライター:能登春子)

作品情報

2026年/日本/145分/配給:松竹
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/eiga-hakuchotokomori/


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