
映画『箱の中の羊』の都内で行われた完成披露試写会をリポート。

舞台挨拶には綾瀬はるか、大悟(お笑いコンビ・千鳥)、桒木里夢、寛一郎、柊木陽太、野呂佳代とメガホンを取った是枝裕和監督が登壇してクロストークを行った。
本作は、近未来が舞台。2年前に死んだ息子と同じ姿をしたヒューマノイドを迎え入れた夫婦の物語。2018年『万引き家族』以来の是枝監督のオリジナル脚本となる。

『箱の中の羊』は、5月12日から開幕されている第79回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出されており、カンヌには是枝監督と綾瀬、大悟、桒木が出席。是枝監督は『万引き家族』でパルムドール(最高賞)に輝くなど、コンペは8度目の参加(監督作の出品は10度目)。世界184の国と地域への配給も決定している。
是枝監督は「とても恵まれた機会なので、カンヌでの反応が楽しみです。メンバーと楽しい時間を過ごしたい」と話す。映画化については「中国で生成AIを使って死者をよみがらせるビジネスが人気という小さい記事を見たのがきっかけ。そういう時代がそろそろ始まるなと思いついたのが最初です」と話した。
建築士の甲本音々役を演じた綾瀬は、是枝監督とは『海街 diary』(2015)以来のコラボ。「目に見えない思いがたくさん詰まった作品です。監督をはじめスタッフ、キャストが丁寧に時間をかけて作ったので、より多くの方に観ていただけるのが嬉しい」と話す。
大悟は初の映画での舞台挨拶で、「すごい雰囲気(笑)。よろしくお願いします」と神妙な面もちで頭を下げる。カンヌについては「レッドカーペットを歩くんじゃろ。待合室がどこにあるのか聞いたら、そんなものはないと笑われた(苦笑)」と話す。カンヌでの綾瀬のエスコートについて話が展開すると、「手が出せたら冷静、出せんかったらド緊張ということで―」と話して会場に笑いを誘った。

200人以上の中から、オーディションで選ばれ、ヒューマノイドと実の息子・翔との2役を演じた桒木は「凄い方たちとの共演は信じられなくて、凄い体験になりました」と挨拶。是枝監督は桒木について「のびのびしていて、現場では大悟さんの頭をなでなでしていた」と優しいまなざしをむける。
カンヌに参加について桒木は「初めてなので、ゆっくり見て覚えて。また行きます!」と宣言して会場を沸かせた。役作りについては「自分らしくやっていいと監督に言われたので、普通に自分らしくやった感じです!」としっかりと答え、客席から拍手を浴びた。
大悟をキャスティングした理由を聞かれた是枝監督は「“人間味”ですね。最近の若い男の子が失っているような、人間臭い感じが撮りたいなと思いました」と話す。


綾瀬と大悟は夫婦役での共演。お互いの印象について、綾瀬は「最初はびっくりしました。でも、すぐに面白そうだなと思いました」と話す。
大悟は、是枝監督から「2人の夫婦ぶりは、思うほど違和感ないですよ。僕の中では普通」と言われていたことを明かした。大悟は「けっこう、ちゃんとやりました」とアピール。
「こういう夫婦もありだなって思っていただけるはずです」と笑顔の是枝監督は、甲本音々の役は綾瀬にと当て書きで脚本を執筆したことを明かし、「『海街diary』では4姉妹のしっかり者の長女という役柄でしたが、今回は妻であり、母であり、姉であり、娘でもある。それそれがどういうふうに感情を複雑に多面的に表現していけるかなとか、そんなことを考えながら書きました」と話した。美術が得意だという綾瀬。劇中のデッサンを書く手元は、綾瀬自身が書いてるので注目。

最後に大悟は「観終わったあとに色々考えていただきたい映画です。期待はずれかもしれませんが、(僕は)笑かしてないです」と俳優ぶりを真摯にアピール。綾瀬は“家族とは?”ちゃんと、描かれています!」。是枝監督は「(撮影現場の)あの空気でなければ生まれなかった。とても豊かなものが映っていると思います!」とメッセージを伝えた。
(文・撮影/福住佐知子)

◆◆◆ライターのひとりごと◆◆◆
遠い? 近い? 未来に亡くなった人のAIが普通に現れたら……嬉しいとは思うけれど、やはり普通じゃないこと。感情だけではすまされない、いろんな問題が出てくると思う。難しいテーマの作品になっています。AI役の桒木くんは可愛くて、顔はAI役にピッタリ。カンヌは楽しめたのかな?
5月29日より全国ロードショー
作品情報
2026年/日本/125分/配給:東宝 ギャガ
©2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.
公式サイト:https://gaga.ne.jp/hakononakanohitsuji/
