
第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で、最優秀女優賞をW受賞した
映画『急に具合が悪くなる』の都内で行われたジャパンプレミアをリポート。

キャストのヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代とメガホンを取った濱口竜介監督が舞台挨拶に登壇した。
本作は、がんの転移を経験しながら生き抜く哲学者・宮野真生子と、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者・磯野真穂が交わした20通の往復書簡が原作。偶然出会った2人の女性が友情を超えた深い絆を結んでいく姿が描かれる。

パリ郊外の介護施設で理想のケアを探求するマリー=ルー役を演じたヴィルジニーは「みなさん、こんばんは。日本に来ることができてとても嬉しいです」と日本語挨拶して大きな拍手を浴びる。ヴィルジニーは女優賞の受賞について「コンペ部門は(最高賞のパルムドールを含めて)8個しか賞がないのに、女優賞を、しかも2人で受賞できてビックリしました」と話す。
独創的な舞台演出家だが、ステージ4のがん患者でもある森崎真理役を演じた岡本は、「私たちが本当に思いを込めて撮影してきた作品を、こうして日本でプレミア上映できるということで、すごく嬉しいです。皆さんから(作品から) “元気をもらった”、“嬉しい”と言ってくださることに感激しています」と感謝を伝える。
前に行われた凱旋会見で、岡本は「最優秀女優賞を受賞したと言う実感がわかない」と話していたが、「やっぱりまだ実感がないんです。ずっと分からないままだろうなと思います」と胸中を吐露。「俳優として賞をいただいたというよりは、2人(ヴィルジニーと岡本)の間に生まれた何かが審査員の皆さんに伝わって、評価してもらえたのだと思います」と話し、「たくさんの方から『おめでとう』という言葉をいただいて、まるでオリンピックでメダルを獲った選手のような気持ちです」と笑顔で話した。

映画『ドライブ・マイカー』でアカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督がメガホンを取った。濱口監督は、「ほとんどのシーンで2人が映っています。女優賞のW受賞が出来ました。原作では、2人の女性が魂を通わせますが、それを、魂を引き継ぐように、2人が具現化してくれました」とヴィルジニーと岡本に感謝の気持ちを伝えた。
受賞したトロフィーが舞台上で披露されると会場からお祝いの大きな拍手が起こった。共演者の長塚と黒崎も大きな拍手を送る。

この日、原作者の1人である磯野真穂がお祝いの花束を持って駆け付け、自身の思いをつづった手紙を披露。磯野が、原作者(宮野と磯野)の間で起きたことが、岡本とヴィルジニーの間でも起きているようだったという感謝に溢れた内容の手紙を読み上げると、ヴィルジニーと岡本はその心のこもった手紙に感激して涙を流した。
岡本とヴィルジニーの2人は、撮影を通じて深い絆が生まれたことを実感しており、ヴィルジニーは「撮影が終わって、別れるのが辛かった。私たちの仲の良さが映画にも現れていると思います」。岡本は「(ヴィルジニーの)素晴らしい人間性に、自然と引きつけられました。彼女が持っている魅力に助けられました」とお互いを称賛しあった。
濱口監督は、「 授賞式で、2人の名前が呼ばれたとき、2人は“どういうこと?”という顔をしたあとに、ハグしてから舞台に上がって行きました。エモーショナルなスピーチをして、自分(濱口監督)のことを言ってくれて……。素敵だなと思いました」と受賞時を振り返った。
最後に岡本とヴィルジニーはこの作品から「希望」を再発見させられたと伝え、濱口監督は「頑張ってきて良かった! スタッフ、キャスト、皆さんが頑張ってくれました。感謝です!」とメッセージを伝えた。
(文・撮影:福住佐知子)

◆◆◆ライターのひとりごと◆◆◆
濱口竜介監督が手掛けた珠玉の1本。2人の俳優による魂の演技に魅せられた。日本語とフランス語のまじりあった会話は聞いていて心地よく、長尺の上映も気にならなかった。脇を支える長塚さんと黒崎さんの演技も、患者役の人たちの演技も素晴らしく、良かった。是非劇場で観てほしい。
6月19日より全国ロードショー
作品情報
2026年/フランス・日本・ドイツ・ベルギー合作/196分/G/配給:ビターズ・エンド
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公式サイト:https://www.bitters.co.jp/soudain/
